どすみちゃん日記

一人暮らし、どすみちゃん

ひとだかり

出来栄えギリギリな試験のあと、明日のデの服を買おうと百貨店へ向かう下りエスカレーターに乗っていたら、上からガタガタ聞こえて振り向くと人が転がり落ちてきた。わたしのすぐ後ろで止まったので、最後に巻き込まれないよう体を持ち上げてエスカレーターから下ろした。ほぼ同時に他の人が非常停止ボタンを押した。落ちてきた人は四つん這いになり、頭から滴り落ちる血をただ見ていた。わたしもしばらく一緒にしゃがんだまま、どんどん出てくる血を見ていた。どういう体勢にしてやればいいのかわからなかった。頭はちょっと切っただけで血がたくさん出るのは分かっていたから「大丈夫ですよ。頭を打ちましたか?」と声をかけた。エスカレーターの中程にも人が倒れているのを見た。そしたら周りに人が集まってきて「うわあ、血が…」とかざわざわしてるなか、冷静な人が、救急車を呼んで!と言ってハンカチを出して駆け寄り、止血しましょうね!と言った。落ちてきた人は「たぶん鼻血も」と言った。別の人が鼻血を止めようとティッシュを出した。わたしはもう何も出来ないと悟ってその場を離れた。人だかりの中から何人もティッシュやハンカチを差し出しているのを見た。呆然とするとはこういう感じか。最近の妙にはっきりとした夢の続きを見たような気分がした。百貨店のトイレで手と靴を少し洗って、また外に出たら救急車が来たので、しばらく遠くから見た。こんな気分じゃ服なんか買えないと思ったけど最終的には買えた。今度同じようなことがあったらすぐに非常停止ボタンを押して救急車を呼んで止血を試みようと思った。常に清潔なハンカチを持っておくこと。